2014年07月22日ヘルマン・ヘッセ 『シッダルタ』

140726a
時々、何も考えずに1冊本を購入して読むことがある。これは、そんな1冊だった。
でも、読んでいて不思議に思ったのは、この本に書かれているいろいろな風景が自分がこれまでに読んできた作品を思い出させること。シッダールタとゴヴィンダの関係、シッダールタの旅の道程、河から学ぶことの多さと、「時のこと」。特に、一瞬一瞬が永遠なのであるという時の見方。今の僕も老いた僕も生まれたばかりの僕も同時にあるのだという考えは、小沢健二の歌の歌詞であり、カート・ヴォネガット作品のトラルファマドール星人が僕に与えた見方で、僕を大学時代にタイムスリップさせた(学習院大学の構内で読んでいたということもあるけれど)。

実在の釈迦であるゴータマ・シッタールダを、ゴータマと、シッダールタと分けてしまい、シッダールタは人としての道を歩ませながら、悟りに至らせる(と言葉で書くことはむなしいことなのだけど)。このことが、我々に希望を与える。この描かれ方が、まるで人の姿で地上にあらわれたキリストのようにも感じられ、ふと、遠藤周作作品を思い出した。

物語の登場人物に誰一人無駄がなく、すべての伏線が回収され(改宗はされないけど)、読んだ後には登場人物とともに読者も成長できる作品。この本は、自分にとって手元に置いておくべき1冊になった。