2014年07月27日冨田恵一 『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』

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名著。小説を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いて感動すると、人はどうするだろうか? とてもよかったな、と何度も思い返したり友達に話したり、このブログでしているように文章にして残そうとするのではないだろうか。それらはみんな、言葉をもって語られるのだけど、稚拙な表現しか僕たちは持ち合わせない。でも、この冨田さんは、感動の理由を解き明かし、実証し、論文として我々に提示している。完全な学術書であるため、そこには最早、冨田さんの感動はごく一部にしか記述されず、事実とそこから導き出される仮説によって構成される。

いかんせん、音楽にもレコーディングにも、当時のミュージシャンの活動にも詳しくないただの『Nightfly』好きであるため、読み手として十分に受けきることができていない。ただ、感動から出発して書かれる論文と、自分の好きな作品をここまで解剖してくれた冨田さんに敬意をはらわずにはいられないのだった。