量的分析か質的分析かを考えようとすると、いつも思い出すことがある。

自分が大学院の進学を決めた4年時に、1学年下の後輩が就職が決まっている先輩たちに対してアンケート調査を実施した。その質問項目の中に「あなたは就職後の仕事にやりがいを感じると思いますか?」というものがあり、その回答者のうち、ただ1人しかNoと答えなかったことが話題になっていた。Noと答えた人に心当たりがあったことが非常に大きいのだけど、このことが今も自分の記憶に強く残っている。

アンケートの集計結果としては、「学習院大学の学生のほぼ全員が就職後の仕事にやりがいを感じている」というものとして公表される。でも、ひょっとしたら、その時にNoと答えた1人にこそ、大きな意味が隠されているかもしれない。その1人に話を聞くことで、僕たちは本当は知らないといけなかった何かを掴めたかもしれない(ような気がしたんだよね)。量的データから、全体の傾向、普通の関係を知ることができるが、それによって見落とされるかもしれない要素があることを意識しながら、分析しないといけないと思う。このことは同時に、担当する3年次の演習で、データ解析の前にヒアリング調査を最初にやろうと思った背景でもあったりする。

ちなみにそのアンケート、僕は「異常値になるといけないので…」と回答を拒否したのでした。

2016年02月21日    etc, lecture

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