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時代劇で描かれる物語の教訓が、現代の我々に活かされるように、キッチンの世界での仕事で得られる教訓は、我々の仕事に絶対に活かすことができる。そんな確信を抱きながら、読み始めたら一気に読み切ってしまった。

プロのコックとはどんなものか、世間のほとんどは理解していない。得意のレシピがあるとか、真新しい盛り付けができるとか、調味料やフレーバーやテクスチュアの独創的な組み合わせを考案したとか、そんなことはどうでもいい。それらは、客がレストランのテーブルにつくずっと前に決まっている。現場のコック ― あなたが食べる料理をじっさいに作る使命をおびている-にとってもっと大事なのは一貫性だ。単純な繰り返しに耐えられるか、まったく同じ手順で何度も何度も一連の決まりきった作業を続けていけるか。現場のコックを指揮するシェフにとって、なにより迷惑なのは新機軸を求めようとするやつだ。コックが自分のアイデアに固執したら、シェフのレシピや盛り付けはめちゃくちゃになる。シェフが求めているのは、ほとんど狂信的な忠誠心でもって、ひたすら苦役に耐え、戦場のようなキッチンで自動的に手を動かし、まったく同じことを何度も反復できるコックである。(62ページ)


何事においても、芸事に昇華させられればそれは、やりがいのある希少なものになるような。

2015年09月29日    book&music

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